これからの時代に必要な能力

 これからの時代に必要な能力とは、何なのでしょうか?日本は、戦後の高度成長期は、物がなかった時代だったので、均質の物をいかに沢山作って売るかが、多くの会社の、一番重要な課題になっていました。その後、It革命により、よりグローバル化も進み、海外からも沢山の物が入ってきたため、今日では、必要以上に溢れ、ほとんどの人は必要なものは持っている時代となりました。多くの方が感じているとおもいますが、今までと同じ方法で会社を運営していたら、近い将来には、上手く機能しなくなってしまう可能性が、高くなるかとおもいます。
 色々な複合された要因がありますが、物が、ほとんどの人に行き渡る世の中になったのに、更に、物が増えて溢れてしまった結果、価格が崩れてしまったことは、事実だとおもいます。その結果、多くの会社が、より速く、より安くして量をこなすという、回転率で勝負しなければならなくなり、小さな会社では、色々なところにしわ寄せがきているのでは、とおもいます。今年、問題となった、クロネコヤマトは、宅配便を受注すればするほど赤字になってしまう、という事態に陥ってしまいましたが、大きな会社でも、このような事態になってしまっているほど深刻であります。
 今後の日本の経済を考えると、より成長するという考えのもとに、経営を進めることは、とてもリスクが高いとおもいます。色々な方が訴えていますが、経済学者の水野和夫さんも、著書の中で、これ以上、今の資本主義のもとで、経済成長を目指すと崩壊すると警告しています。これからは、縮小する経済の中で、会社が生き残るために、本当に必要なことは何かを、考えていくことが、とても大切になってくるかとおもいます。
 しかしながら、ただ、考えるといっても、どのように考えればいいのか? とおもわれるかもしれません。実は近年、世界のグローバル企業の幹部の方たちが、学んでいることがあります。それは、アートです。アートと聞いて、多くの人たちは、一体ビジネスとどんな関連性があるのだろか? と疑問におもわれるかもしれません。組織開発・リーダー育成を専門とされている、山口周さんが、著書の中で、『これまでのような「分析」、「論理」、「理性」に軸足においた経営、いわば「サイエンス重視の意志決定」では、今日のように複雑で不安定な世界においてビジネスの舵とりをすることはできない』と述べられています。これは、どういうことかと言うと、論理や理性だけで物事を判断しようとすると、正解の答えが同じになってしまい、他と差別化が図れないということです。そのためには、直観力という感性を磨くことが必要になってくるということです。私も、現在、美術大学でアートの勉強をしているのですが、理由の1つは、これからのビジネスは、より創造的な発想力が、より必要になってくると感じたからでした。アイデアが湧かなくて困られている方は、まずは、発想力を磨く練習から始められることをお薦めします。

閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
著者 水野和夫
発行年 2017年5月
発行所 集英社

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
経営における「アート」と「サイエンス」

著者 山口周
発行年 2017年7月
発行所 光文社